安英学

しお韓から転載&修正。
たぶん誰にも需要がないアン・ヨンハッインタビュー@SPORTS2.0 第120-121号(9/8記事)水原=キム・ドクズン記者
韓国の記事が元なので韓国/朝鮮/北朝鮮の記述が入り混じっているが気にしないでハセヨ。
 
Kリーグ釜山アイパークを経て水原三星のユニホームを着たアン・ヨンハッ(30)は 2010年南アフリカワールドカップ
アジア地域最終予選でも北朝鮮代表チームの中心を責任を負う。
 
アン・ヨンハッは 1966年のイングランドワールドカップ以後、44年ぶりのワールドカップ本選進出を狙う北朝鮮の中心メンバーのひとりだ。
 
北朝鮮が戦った2次予選 6試合に全てスタメン出場した。
今年だけでもう3回も行われた韓国戦でも、アンヨンハッは交替なしで270分をフル出場した。
 
アン・ヨンハッは「ドイツワールドカップに引き続き、2度目のワールドカップ挑戦です。4年の間に少なくない変化があったが、
自分もいつのまにかチームのベテランになった。簡単なことではないがワールドカップ本戦に出るために最善をつくす」と語った。

 

Q:韓国は北朝鮮を「朝鮮」と呼ぶのには慣れませんか?
 
A:韓国の人々はそうだけど、在日朝鮮人である私は慣れています。
幼い頃から北朝鮮を朝鮮と言ったし、韓国を南朝鮮と呼びました。
ですから、2010年ワールドカップアジア最終予選に参加する北朝鮮代表チームは「朝鮮代表チーム」なんです。
変に聞こえるかも知れませんが、自分にはそれが自然なんですよ。
 
Q:在日朝鮮人選手の中に日本への帰化選手が増えているようですが、最近雰囲気はどうですか?
 
A:申し訳ありませんが、まだ聞き分けられない韓国語があります。
韓国のテレビを見ていても難しい単語が出たり、文章が複雑に繋がると聞き分けることができないんです。
雰囲気というのがどんな雰囲気なのか、もう一度説明して戴けますか?
 
Q:北朝鮮代表チームのチョン・テセ選手は帰化をしなかったが、日本五輪代表で活躍した李忠成選手は日本で帰化をした。
最近日本で帰化する在日の選手が多くはないですか?
 
A: そうですね・・・正確には分かりません。
李忠成選手とは一度あいさつをした事がありますが、あの人は幼い頃から日本代表チームで活躍する夢を抱いていました。
日本プロサッカーを見ながら、カズ選手やとラモス選手などに憧れたと言ってました。
チョンテセ選手はそうではないのでしょう。
自分の場合も、一度も日本代表でプレーしたいという考えを持ちませんでした。
「自分は朝鮮人だ。だからこそ北朝鮮代表チームでプレーするのが当然だ」と思っていました。
 
Q:日本映画「パッチギ!」を見すと、在日韓国/朝鮮人の生活ぶりがよく扱われていますが、本当に日本の学生と反目がひどいのですか?
 
A:私もその映画をおもしろく見ました。私が学生の時も何人かの子供達はあんな風に日本の学生たちと喧嘩をしたこともあったようです。
それはお互い様で、在日韓国/朝鮮人たちに対する差別もたくさんあったと思ってます。
 
Q:映画ではサッカーをする場面もあります。
 
A:そうでしたっけ?ずいぶん前に見たのでよく覚えてません。
日本の学生たちは楽しんでサッカーをしよう、と思うけれど、在日の選手たちの間では「命をかけて戦おう」という言葉がよく出ます。
今思い出しましたが、2006年の1月に大阪朝鮮高が高校サッカー選手権本大会に進出して旋風を巻き起こしました。
ベスト8で惜しくPK戦の末に負けて、対戦したチームが結局優勝をしました。
全国大会での8強でもたいしたことなのです。
当時 Jリーグの名古屋グランパス所属でしたが競技場で応援をしました。熱心にプレーする選手たちを見て胸が熱くなりましたね。
 
Q:在日の学生たちに「サッカー選手・アンヨンハッ」はどのように映っているのでしょうか。
 
A:そうですね、釜山アイパークにいる時には、彼らが読む「新世代」という雑誌に毎月文章を載せていました。
自分で文章を書きましたし、かなり気を使いました(笑)
サッカー選手としての経験が、若い学生たちの助けに少しでもなったらと思いました。
 
Q:今回が2度目のワールドカップ挑戦です。2006年ドイツワールドカップ最終予選の時と比べるとどうですか?
 
A:いつのまにか北朝鮮代表チームの中でもベテランになりました。
若い選手たちが多いからチームで重要な役割を引き受けるようになりました。
緊張する選手がいれば私が先に近付いて話を交わします。
選手たちが素直なので、私の話によく従ってくれます。
チョン・テセやホン・ヨンジョなど優れたフォワードのおかげでチーム力は4年前より強くなったと思います。
 
Q:北朝鮮のサッカースタイルは?
 
A:基本的に守備に重点を置いています。
今年だけで韓国ともう3回も対戦しましたが、韓国戦だけで守備サッカーをしたわけではありません。
北朝鮮のサッカースタイルが守備的だと思えば良いでしょう。
しかし、スピードがあって突破力のあるFW陣がいるのでカウンターが鋭いのです。
一生懸命走ってカバープレーを確実にしようと思っています。
ベストメンバーの変化が多くないので組織力は高いでしょう。
大きな枠組みは変化がありませんが、細かく見れば変化がかなりあります
韓国との3回の対戦でも毎回小さな変化がありました。どんな変化かは話すことができませんけどね。
 
Q:北朝鮮のキム・ジョンフン監督はどんな指導者なんですか?
 
A:ディフェンダー出身です。そのためか安定した試合運びを好むようです。
いつも物静かで、冷静な判断をなさいますね。
そして選手たちを我が子のように思っています。
私だけがそれを感じるのではなくて、すべての選手たちが同じなのです。
監督のことを嫌がる選手はいません。
 
Q:4年前と比べて代表チームでのプレーが守備的に変わったのは、監督の影響と見てもいいのでしょうか?
 
A:それはそう見なければならないでしょう。
ドイツワールドカップアジア最終予選の時は攻撃にも積極的に加わってゴールを入れたりしましたが、今はそうではありません。
ディフェンスを優先してチームのバランスを取るのが私の任務なのです。
 
Q:韓国代表選手の中で誰が要注意人物として知られていますか?
 
A:それは聞かれると思っていました(笑)
マンチェスター・ユナイテッドパク・チソンと、この間までトットナム・ホットスパーに居たイ・ヨンピョを要注意選手と思っています。
FWの中ではASモナコに移籍したパク・チュヨンを警戒しています。
 
Q:2010年ワールドカップアジア最終予選はどのような見込みをしていますか?
 
A:率直に言って易しい組ではありません。
B組に属した韓国、イラン、サウジアラビア、UAE、全て手強い相手です。
しかし最低でも3位に入ればプレーオフを経てなんとか本大会進出を見据えることができます。
韓国とイラン、そしてサウジアラビアが相当な実力を持っていますが、北朝鮮も大きく実力が劣るチームだとは思いません。
イランのチーム力が4年前より弱くなったと思う意見がありますが、私が見るにはそれでもイランはイランです。
2006年の最終予選でイランと同じ組に入って試合をしたが、すごく大変でした。
バイエルンミュンヘンでプレーした事があるアリ・カリミと、ハンブルガーSVに所属していたのメフディ・マハダビキアは、
ひとりで守備組職を崩すことができる個人技を持っています。
 
Q:南アワールドカップアジア最終予選に出場する北朝鮮代表チームに対する、北朝鮮サッカーファンたちの期待が大きいようですが。
 
A:4年前や今の北朝鮮代表サッカーに対する熱気は熱い。朝鮮サッカーファンたちはいつも熱狂的に選手たちを迎えます。
「試合に負けた」と後ろ指を差すファンはいません。「よくやった」と握手をし、手をたたいてくれる。
韓国とは雰囲気が少し違います(笑)
そういうふうにされるほど「もっと熱心にやらなければならない」と心に誓うのです。
 
Q:サッカー代表チームを向けた非難は、関心や愛情の表現と見ることもできませんか?
 
A:非難がどんな愛情になるんでしょうか、今まで理解ができませんでした。何の意味があるんでしょう?
 
Q:関心があって愛情があるからこそ、期待ほど成績が出なかった時には非難をするのだと思いませんか?
 
A:もちろんそうです。ところが北朝鮮ではサッカー代表チームを向けた非難を聞たことも見たこともありません。
2005年4月だと思いますが、ドイツワールドカップ最終予選のイランとのホームゲームでもそうでした。
あの試合ではイランに0-2で負けましたし (観衆が乱入するような)良くないことも起きましたが、
ファンは我々選手たちにだけには惜しみない拍手を送ってくれました。
試合が終わった後、競技場前の広場には幾多の人波が殺到して、あの時だけはファンがやじを浴びせると思いましたが無駄な心配でした。
すべてのファンが「よくやった」と我々選手たちの名前を大きく叫んだのです。感動しました。
 
Q:所属チーム水原三星では出場機会をなかなか得られませんね。
 
A:私の力が足りないせいです。チャ・ボンクン監督が思うような、早いテンポのプレーをすることができないからだと思います。
しかし、水原へ来たことを後悔していません。釜山で活躍していた時も、必ず一度は水原でプレーして見たかった.
ファンも多くてチーム力も優れていて、Kリーグ最高のチームと思っていました。
 
Q:早いテンポのプレーに適応することができないということですが、具体的にどんなことですか?
 
A:瞬間のスピードが落ちることで、パスのタイミングが遅れることかも知れません。
このごろはそういう部分を補うために力をつくしています。
 
Q:水原でのポジションライバルを教えてください。
 
A:チョ・ワンヒやパク・ヒュンボムを挙げる方々が多いけれど、私はそうは思いません。
私はいつも、私が乗り越えなければならない相手はまさに私自分だと思っています。
水原と契約は1年以上残っています。私が持っているすべてのものを注いで、監督の信頼を得るつもりです。
 
Q:水原の選手たちの中で、誰と一番仲が良いですか?
 
A:キャプテンのソン・ジョングクです。
同い年の友達のようにうまくやっています。初めて水原へ来た時、あれこれよくしてくれました。
水原と隣近都市の地理を教えてくれましたし、高速道路がどこにあるのか、
そしてどんな風に移動をしなければならないのかを紙に詳しく書き出して渡してくれました。
ソン・ジョングクとはいろんな話をたくさんします。
この前は彼がオランダ・フェイエノ−ルトでプレーしていた話をしました。
ジョングクは日本の小野伸二選手と同僚でしたから、私がJリーグで活躍していた小野選手の話をすれば彼が相槌を打ちます。
 
 
アン・ヨンハッが語る北朝鮮の選手たち

チョン・テセ(24) 川崎フロンターレ FW

攻撃的で脅迫的な顔立ちなので、最初は私も恐ろしかったけれど、打ち解けてみれば可愛い末っ子の弟みたいなものです。
仲間たちによくいたずらしたり、子供みたいなところもあります。
多くの趣味を持っているし、いろんなことにに好奇心も多い。
運動をしながらも片手間に英語を勉強をするなど、自分の啓発のために多くの力を傾けています。
試合中、度が外れるほどに仲間たちにボールをくれと要求しますが、フォワードですから当たり前の事ですね。
 

ホン・ヨンジョ(26) FCロストフ FW

今年開かれた韓国との試合を通じて韓国のファンにもかなり名前が知られたようですね。
水原三星のチームメイトたちも「ホン・ヨンジョは何者?」とみんな言ってました。
テセとツートップを組む試合が多いので、ヨーロッパでプレーしている実力は立証されたと思います。
セルビアリーグで活躍して、最近ロシアの2部リーグに移籍しました。
北朝鮮で一番人気がある選手です。韓国で言うパク・チソンと思えば良いでしょう。
 

アン・ヨンハッ(30) 水原三星 MF

私が自分自身の説明をしようとするときまりが悪い(笑)
朝鮮代表チームに合流すると気が楽な感じがします。家族みたいな感じです。他の選手たちも同じ気持ちでしょう。
いつのまにかチームのベテランになりました。
4年前、ドイツワールドカップアジア最終予選に出た時とは違います。
若い選手たちがチームのためにプレーすることができるように、いろいろと励ます事が多くなりました。
若い選手たちのが苦しいとき、楽に頼ることができる支えになりたいですね。
 

キム・ヨンジュン(25) 青島中能 MF

北朝鮮代表チームにいる4人の海外在籍選手の中で、唯一中国リーグで活躍しています。
代表合宿でも一番親しく過ごしています。
試合の時も普段生活する時も、何かに気付くのが早い。彼を見ていると、そんなセンスをよく学びたいですね。
対人関係でもバランス感覚がすぐれるという気がします。
イタズラをしても相手が気分を悪くするほどにはしない。頭の回転が早くて賢い友達です。
 
ムン・イングク(30) 4・25 ミッドフィルダー

黙々と自分のすべきことをする。それはエゴイスティックという話ではなくて、
後輩たちの面倒をよく見てくれて相手を楽にさせてくれる。
そして真面目です。班長みたいなスタイルだと見れば良いでしょう。
けれども、選手団を統率することができるようなカリスマは不足している。
畏怖するような仲間ではありません。
試合ではおびただしく走る。朝鮮代表チームで一番多く走る選手ですね。
 

チャ・ゾンヒョク(23) 鴨緑江 DF

体が良くてがっしりしている。プレーも倦まず、弛まずしてます。
「ヨンハ先輩、ヨンハ先輩」と言って実の弟のように私に付いてきます。
ちょっと見れば社交的なようだけど、一方でははにかみやすい仲間です。
特に話の途中に女性の話が出ると恥ずかしがりながらトーンダウンする。
顔が赤くしながら初めから話をはぐらかす場合も多いです。
 
ナム・ソンチョル(26) 4・25 DF

今回、キャプテンマークをつけました。それほどリーダーシップがあるということです。
南アワールドカップアジア3次予選では韓国のキム・ナミル選手と一緒にベスト11に選ばれました。
実力も取り揃えているということです。
4年前のドイツワールドカップアジア最終予選でも一緒にプレーしました。多方面に有能な選手です。
 
ハン・ソンチョル(26) 4・25 守備手

ドイツワールドカップアジア最終予選の時の主将で、北朝鮮代表チームを上手く統率しました。
ユーモア感覚があって面白く、周りに常に仲間たちがたくさんいますが、特にキム・ヨンジョンと親しい。
食事やウェイトトレーニングなどの個人運動も一緒にしてます。
彼とヨンジュンの横によく私がいます。三人で一緒に行動する事が多いです。
 
パク・チョルジン(23) 鴨緑江 DF

北朝鮮代表チームの中でも花美男な選手と知られています。背も高くてハンサムだよ。
パク・チォルジンを見て皆が「ハンサムだ」と言ったりするのが
ハン・ソンチョルは密かに妬ましいようです。性格も良い。チョン・テセと親しいようです。
話術も上手くて、会話を導いて行くスタイルです。
今回のワールドカップアジア最終予選で活躍すれば、スターダムに登るに値する条件を取り揃えています。
 
イ・ジュンイル(21) 小白水 DF

良く言えば自分のスタイルを維持しようと思っていて、ちょっと良くない言い方をすれば自己中心的。
しかし他人に迷惑をかけない。おもしろい仲間だけども、それでもまたあまりおもしろくはない。
それがイ・ジョンイルの魅力なんでしょう。
今度代表チームに合流した時にはつかまえて、一度真剣に話をしてみるつもりです。
プレーの面で見ればチームになくてはならない選手。韓国のホン・ミョンボに似ています。
 
イ・ミョングク(22) 平壌ゴールキーパー

私が見た北朝鮮代表チームでは最高のゴールキーパー
一言でいえば能力のあるゴールキーパーです。
背が高いが瞬発力が優れていて、球に対する反応速度がおびただしく早い。
年は若いが、危機的な状況を勝ち抜ける要領も分かっています。